消えたSSDを歌詞にしてMVを作ってみた。失敗を歌に置き換える
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作業用のSSDが読めなくなった日のことを、歌にしました。
2026年10月1日、作ってきたものの一部が戻らなくなりました。その話は前の記事に、保存の教訓として書いています。GitHub(コードや作業の履歴をネット上に保管できるサービス)へ作業を送る「プッシュ」と、クラウドバックアップはマメに行おう。残ったのは、その一言です。今回は同じ日のことを、60秒の構成の歌詞と、64秒のMV「消えない灯り」にしてみました。
この記事は、起きたことを歌詞の一行ずつに置き換えた対応表と、AIで曲を5曲作って分かったことの記録です。
「あるはず」は、あとから確かめられない
大事なイラストや音楽データの長期保存をどうするか、SSDとHDDで迷っている声を目にします。SSDの故障で元データと約1年分の積み重ねが消え、低画質の画像しか残らなかったという声も目にします。
どちらも他人事ではありません。AIに作業を任せるほど、作ったものは速く増えます。増えたものを「どこかにあるはず」と思っていても、控えが無ければ、確かめようがありません。
MVの歌詞の中心に置いたのも、この「はず」でした。
「応答が遅い」に気づいた夜、私は作業を続けた
9月30日、作業の途中で「このドライブの応答が遅い」と気づきました。それでも作業を続け、10月1日にSSDは読めなくなりました。
別の場所に送っていなかった約50件の作業は、手元にしかありませんでした。大半は作業の記録から戻せましたが、制作ツールや動画テンプレートの最新版、録画素材、画像、サービスにつなぐ鍵(APIキー)などは戻りませんでした。公開済みの動画や出品は、公開先に残っていました。
保存の話は前の記事に書いたので、ここまでにします。
https://note.com/shinemon33/n/nd59a235203dc

起きたことを、歌詞の一行ずつに置き換えた
歌詞の案はClaude Codeに出してもらい、私が選んで直しました。出来事をそのまま書くと、歌詞ではなく説明になります。そこで、鍵、手紙、窓の灯りに置き換えています。
1番
- 「鍵が回らない朝」:10月1日に突然読めなくなったこと。鍵には、戻らなかったAPIキーも掛けています
- 「十月一日の玄関」:故障した日そのままです
- 「僕が出しそびれた手紙」:別の場所へ送っていなかった約50件
- 「そこから灯りは見える?」:本体は消えたのに、公開済みの動画や出品は別の場所に見えていたこと
- 「前の晩 灯りが遅れて点いた」(画面の文字だけ):9月30日の「応答が遅い」
- 「点いてるよ 僕が決めたよ」:戻らなかったデータを、控えが無いのに「まだどこかにある」と思い込もうとしている状態
2番
- 「遠くの窓は点いている」:公開済みの完成品、生成画像の原本、会話の記録は別の場所に残っていたこと
- 「新しい鍵を作る夜」:APIキーの再発行
- 「本当に点いてる?」:控えが無いので、残っているかを確かめられないこと
- 「前の扉は開かないまま」(画面の文字だけ):ツール一式の最新版と録画素材が戻らなかったこと
最後のサビと終わり
- 「点いてるよ」→「点いてたよ 僕が見たんだ」→「点いてた はずなんだ」:「ある」と言えていたデータが、「あったはず」としか言えなくなること
- 「窓の灯りが ひとつ消えた」:最新版は戻らず、回収できたのが作っていたものの初期版の断片だけだったこと
- 「遠い窓でまだ点いていて」:戻らない最新版に、どこかで残っていてほしいという願い
結末には、慰めや再出発の行を入れていません。最後のサビも、小さくせず力強くしました。小さくすると「悲しい・寂しい」、力強くすると「悲しい・悔しい」になります。私は後者を採りました。
30秒に切ると、「点いてるよ」が「はずなんだ」に変わっていく最後のサビが入りません。そのため、歌詞は60秒の構成のままにしました。

5曲作って、採用は5曲目
AIで曲を作ってみたものの、仕上がりは「うーん」で、歌詞の抜けも目立ったという声を目にします。
私が使ったのは、GoogleのLyria(AI Studio)です。5曲作って5曲目を採用し、費用は5曲で約$0.40でした。今回の5曲を比べて分かったことは4つです。他の曲でも同じになるとは限りません。
その1|秒数つきの構成を書く 秒数つきの構成を書いたほうが、歌詞の順番を守りました。スタイルを短い1行に削った3曲目は、順番が崩れました。
その2|歌詞を入れる場所を選ぶ 曲の始めと終わりの枠(IntroとOutro)に歌詞を入れると、歌ではなく語りになりました。歌の枠(VerseとFinal Verse)に移すと、歌として歌われました。
その3|高い声を指定しない 「high」「soaring」「upper register」があると、声がキンキンしました。「mid-low alto」「chest voice」と低めの声を指定すると、キンキンしなくなりました。「shouted」「pronounce distinctly」も入れていましたが、話し声に寄ったとみています。
キーが高い曲はAIは受けやすいからなのか高くなっていきがちです。私はあまり刺さりませんでした。力強く歌ってくれる方が好みでした。
その4|読みが一つの語は漢字で書く ひらがなだけだと「かぎりが」「じゅうがず」と歌われました。読みが一つの語を漢字にすると、読み間違いが減りました。
それでも「十月一日」は「じゅうがつ いちにち」と歌っています。画面の文字は正しいので、そのまま許容して作り直しませんでした。

曲を聞いてから絵を決めた。カメラを動かしたのは1か所だけ
前回のMVは絵が先でした。今回は曲を聞いてから絵を決めています。
絵柄は、コードで映像を作るスタイル集「lemo-opuscar」の60種類以上の中から選びました。選んだのは、切り絵の灯り箱のスタイル(Paper-cut Lightbox)です。見本の絵と音は使わず、絵柄の考え方だけを借りて作っています。色は濃紺と暖色で、顔は出しません。人物は、うつむいて腕を抱える後ろ姿の影だけです。影はCodexに案を作ってもらい、3案目を選びました。
https://github.com/lemomo-ai/lemo-opuscar
映像は、コードで動画を作るHyperFramesで組みました。指示は日本語でClaude Codeに出し、私はプレビューを見て直しを伝える係です。直した所は次のとおりです。
- カメラを動かすのは、54秒の寄りだけにしました
- 全体を、カメラの動きではなく場面の切り替えで見せる作りに変えました。10〜30秒は窓辺の1カットのまま、灯りだけを増やしています。紙芝居に近い見え方です
- 場面の切り替え4か所は、一度暗くしてつなぎました
- 文字だけの2行は、暗転をやめて絵の上に置きました
灯りが消えた窓が自分の部屋だったと分かるのは、映像の終盤です。その灯りは0.6秒で消えます。
できたのは縦長の64.3秒です。見終えた感想は「まぁまぁいいんじゃないかな」でした。詞のきっかけは意外とあるもんだなぁ、とも思いました。
このMVで決めていること
概要欄には「Lyria生成」と明記し、YouTubeのAI開示は「はい」にします。収益化は期待していません。
AIで作った曲の権利は、人の関わり方で個別に判断されます。Lyriaは、生成AIの補償の対象一覧に載っていませんでした(私が確認した時点)。前回と同じく、自分のルールを決めてから公開します。

まとめ:失敗は、別の形でも残せる
- 起きたことを書き出して、一行ずつ別のものに置き換えると、説明ではなく歌詞になった
- Lyriaは5曲で約$0.40。今回の5曲では、構成の書き方と歌詞を入れる場所で結果が大きく変わった
- 曲を聞いてから絵を決め、動かす所を絞った
戻らなかったものは、歌にしても戻りません。だから結末も悲しいままにしました。それでも、あの10月1日のことを、記事とは別の形で残せました。
まずはMV本編をご覧ください。
▼MV本編「消えない灯り」 https://www.youtube.com/watch?v=R8QeOQPmYy4
みなさんは、大事なデータをどこに置いていますか。コメントで教えてもらえると嬉しいです。フォローしておくと、次の記事が届きます。