AEなしでボカロ風MVを30秒。Lyria・Omni・HyperFramesの記録
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曲はAIでできた。でも、それを映像にしようとした瞬間に手が止まった。そんな経験はありませんか。
私もそこで止まっていました。「ボカロ風のMVは、After Effects(AE)でないと無理なのでは」と思い込んでいたからです。
そこで今回、曲はLyria、動きはOmni、仕上げはHyperFramesで、30秒の縦長MVを作ってみました。結論から言うと、この長さと用途なら、AEでなくても作れました。失敗も含めて、記録をそのまま書きます。

曲はすぐできるのに、MVにしようとすると手が止まる
Xでは、Sunoで曲はすぐ作れるけれど、それをMVにするのが大変、という声をよく目にします。見るたびに「それ、私です」と思っていました。
曲ができたところまでは楽しいんですよね。ところがその先には、絵を用意して、動かして、歌詞を載せて、グリッチや光で雰囲気を出して、拍に合わせて切り替える、という工程が待っています。しかもボカロ風MVの魅力は、ほぼ固定のイラストを寄りや回転、歌詞の演出、レンズ風の質感で見せるところにあります。
「あの雰囲気はAEの世界の話では」と感じて、曲だけがフォルダに眠っている人は多いのではないでしょうか。
「AEでしかできない」と思っていた。ただ、確かめたことはなかった
今回の出発点は、「AEでしかできない演出」を調べることでした。AEやAE系の別の道具を使うかを決める前に、普段の動画づくりで使っているHyperFramesで足りるのかを、先に確かめることにしました。
MVでよく使う演出を20項目に絞って調べると、半分以上は、HyperFramesに既製の部品か手本がありました。歌詞の動き、グリッチ、色ずれ、光漏れ、フィルムの粒、ズームの切り替え、拍に合わせる動きなどです。
一方、弱いのは「画面全体に後からかけ続ける処理」と「実写・動画そのものの加工」でした。そこで画面全体のレンズ風の質感は、背景・人物・歌詞をすべて1枚のWebGLの画面に描き、最後にレンズの処理を1回かける方式で試しました。5秒の試作で、プレビューと書き出した動画が同じ見た目になったので、この方式で進めました。
AEを否定したいわけではありません。実写の加工などは、AEが得意な領域だと思います。今回の「このMVくらいなら」という線で、選択肢が増えたという話です。

作ったMVと、道具それぞれの担当
作ったのは、自分のイメージキャラ「suzumin」が、宵闇ゴシック令嬢のドレスで洋館のホールを踊る31.6秒のMV(9:16)です。曲名と歌詞は「月あかりの舞踏会」で、サビは「くるくる 踊れ 夜の中」。参考にしたのは、ボカロMVの「ほぼ固定のイラストを、寄り・回転・歌詞の演出・グリッチで見せる」作り方だけです。参考にしたMVの絵・文字・音は使っていません。
ステップ1|歌詞 Claude Codeに案を出してもらい、私が選びました(案B「月あかりの舞踏会」)。
ステップ2|曲 Lyria 3.5(Google AI Studio)で生成しました。1回で採用です。
ステップ3|1枚絵と寄りの静止画 全ショットの元になる1枚絵と、寄りのカットの静止画は、ChatGPTとCodexで作りました。
ステップ4|動き ChatGPTで作った1枚絵を最初のコマとして渡し、Omni(Google Flow)でショットごとに動画にしました。
ステップ5|仕上げ HyperFramesで、歌詞・光・レンズ風の質感・寄りのカット・ズーム・切り替えを組みます。指示は日本語でClaude Codeに出し、私はプレビューを見て直しを伝える係です。
ステップ6|サビの文字演出 ブラウザで動く歌詞モーション作成アプリ「JIZURA」を使いました。
順調のはずが、そうはいかなかった
ここからは失敗の記録です。
Lyriaは「30秒・サビ3回」で65.5秒が届いた サビは2回、途中に約6秒ほぼ無音の区間もありました。良いところをつないで31.6秒に切り出しています。つなぎ目は「ギリセーフ」です。無音を約0.5秒に詰めた所が、ちょうど構成の暗転と合ったのは幸運でした。
最初の作り方は「静止画ベースで地味」だった 1枚絵を層に分けて動かす型で作ったところ、プレビューの感想は「地味」。しかも層に分けた絵は、直したい所があるたびに部品を1個ずつ直すことになり、LP制作と同じ手間になりました。そこで先にショットリストを決め、ショットごとにOmniで動かす方式へ切り替えました。
Omniには癖があった 「Silent」と書いても音が入りました。「右肩越しに振り返る」と書くと、suzuminは逆の方向に回りました(本人から見た左右は通じにくいようです)。指示していないのに、途中で組んでいた手をほどいて腕を下ろしたこともあります(「6秒ずっと手を組んだまま」と書き直して直りました)。それでも6ショットはほぼ1回で合格で、踏み込むたびに床に水の波紋が広がるなど、頼んでいない良い演出も出ました。

6本つないだら「物足りない」 原因は、全部が同じ全身・固定カメラで構図が変わらないことでした。靴・ろうそく・窓の月・髪飾り・顔のアップなど9か所の寄りのカットを挟み、歌詞も出だしは1文字ずつ、サビは単語ずつにしています。
ズームバンプで「ガチャガチャ」した 参考記事の型で、拍で一瞬グッと寄るズームバンプを入れたら、直後に寄りのカットが続いて落ち着かなくなりました。寄りのカットの出だしに移して解決です。サビ下の黒い帯も、外したほうが足元と床の反射まで見えて華やかでした。
JIZURAの飾りまで乗ってきた おまかせで8案を一気に出し、MVの雰囲気にいちばん合っていた3案目を、サビ全体に使いました。書き出しは透過PNGだと1案約10分、黒背景のMP4なら約6秒です。そこで黒背景のMP4をMVの映像の上に重ねて、黒い部分が消える合成(スクリーン合成)にしました。ところがMVに重ねると「UNTITLED」「REC」や時刻など、カメラのファインダー風の飾りまで乗っていたため、外して書き出し直しました。

驚いた順に3つ。費用は事実として並べます
驚き1|HyperFramesで、私の用途には足りた 調べた20項目の半分以上に、既製の部品か手本がありました。部品が無かった画面全体のレンズ風の質感も、1枚のWebGLに描く方式で、書き出しまで通りました。
驚き2|Lyriaがそこそこいける 初めて使いました。Sunoは結構使っていて「1強」だと思っていたので、少しびっくりしました。Sunoを否定する気持ちはなく、使い分ける楽しみが増えたと感じています。
驚き3|JIZURAの文字演出 正直、私にはこの演出の指示が思いつきません。そこが「おっ、使えそう」でした。AIに演出の引き出しを借りる感覚です。
費用は、サブスクを除いた数字です。
- 曲:Lyria 3.5 を1曲。$0.08(約12円)
- 動画:Omni(Flow)で約98クレジット。6秒=10、8秒=12、4秒=7クレジットで、1日50クレジットの枠を3日に分けて使いました。Omniでの生成は、無料の枠(毎日50クレジット)でも使えます。私はGoogle AI Plus(400GB)に入っていて、素材を1080pに上げるアップスケールはこのプランの機能です。契約画面の表示は月額180円でした(年払いは年7,250円の表示なので、キャンペーン価格かもしれません)
- 静止画:ChatGPT・Codex(サブスク内)
- 歌詞・編集の指示:Claude Code(サブスク内)
- 仕上げ:HyperFrames・JIZURA(無料)
作業は4日に分けて、合わせて15〜20時間くらいです。毎日やっていたわけではなく、空いた夜に少しずつ進めました。

収益化は期待していません。権利はまだ確認中です
Xでは、AIでそのまま出した曲を自作として著作権登録する人がいる、という指摘も目にします。ただ、AIで作った曲に著作権があるかどうかは一律には決まらず、人がどれだけ創作に関わったかで個別に判断する、と文化庁は説明しています。耳が痛い話ですし、Lyriaの曲の権利と収益化については、私もまだ確認中です。
だから今回は、次の3点を決めて公開します。
収益化は期待しない。概要欄に「Lyria生成」と明記する。YouTubeのAI開示は「はい」にする。
AIで作る人が増えるほど、こうした線引きが問われると思います。作る前に、自分のルールを決めておくと安心です。

まとめ:まず30秒、動かしてみませんか
AEでなければ無理と思っていたMVが、HyperFramesとLyriaで、失敗込みでも4日ほどで形になりました。完璧な一本を目指すより、30秒を1本出して、直しながら進めるほうが私には合っていました。
今回の失敗も、次の1本の資産です。「物足りない」を見つけて直す作業そのものが、いちばんの勉強になりました。
もしあなたの手元にも、眠っている曲や絵があるなら、まず1ショットだけ動かしてみてください。
MVを見た感想があれば、コメントで聞かせてください。次の1本の参考にします。自分の「作ってみたい」をAIと一緒に形にしていく話を書いているので、よければフォローしてください。
▼MV本編「月あかりの舞踏会」 YouTubeで見る