AIに「合わせて」と頼んだらテロップが3行消えた。言い直したら戻った話
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「合わせて」と頼んだら、画面に出ていたテロップが3行、まるごと消えました。
動画の収録中の話です。頼んだことは全部できているのに、頼んでいないものが消えている。言い直したら2行で戻りましたが、その2行が出てくるまでの数十秒は、正直あせりました。
今回は、その失敗をそのまま書きます。AIを責める話ではありません。同じ一言が2通りに読めると、こうなるという話です。
テロップが3行、きれいに消えていた
AIが親切に全部やってくれると思っていたら、いちばん大事な部分のほうが消えていた。消えたことに気づくのが遅れるのがいちばん怖い、という声を見かけます。
その「気づくのが遅れる」が、まさに私に起きました。
私はいま、HyperFrames というツールを使ったYouTube講座を全6回で作っています。HTMLで画面を組んで動画にするタイプのもので、第5回のテーマは「シーン構成と編集」です。
その収録中、3つの場面をつなぐ実演をしていました。つなぎ目の処理、間の取り方、BGM、声と画面のタイミング——やることが重なっていたので、次の6行を1回にまとめて送りました。
三つの場面をつないで、全体で三十秒に整えて。
つなぎ目は、じわっと重ねる形で。
それぞれの場面の終わりに、一秒だけ間を作って。
声で言っていることと、画面に出るものを合わせて。
bgm.mp3 を全体に敷いて。声より小さめで。
はじめと終わりは、やわらかく。
しばらく待って、できあがったものを再生しました。つなぎ目はきれいに重なっている。BGMも入っている。間もある。頼んだことは、ちゃんとできていました。
ただ、テロップが3行、消えていました。
そのテロップは、ナレーションで「こんなものを作っています」と指し示している対象でした。「こんなもの」と言っているのに、画面には何も出ていない。消えたままでは、動画として成立しません。
厄介なのは、増えたものより、無くなったものは目に入りにくいことです。頼んだことができているかを確認していたので、頼んでいないものが消えていることには、ワンテンポ遅れて気づきました。

「合わせて」は、2通りに読める言葉だった
原因を追うと、4行目の一文に行き当たりました。
声で言っていることと、画面に出るものを合わせて。
AIはこれを、「声の内容と画面が合っていない。だから、合っていないものを消して揃える」と読んだようです。
そして、この読み方は筋が通っています。「合わせる」という言葉は、タイミングを揃えるとも読めますし、内容を一致させるために余分なものを取り除くとも読める。文脈がなければ、どちらにも転びます。
私はタイミングのつもりで書きました。AIは中身のつもりで読みました。それだけのことでした。
言われてみれば、同じ性質の言葉はほかにもあります。
- 整えて ── 並べ直すのか、削って短くするのか
- まとめて ── 1か所に集めるのか、要約して減らすのか
- そろえて ── 見た目を統一するのか、はみ出したものを落とすのか
- きれいにして ── 装飾を足すのか、余計なものを引くのか
どれも「足す」方向にも「引く」方向にも読めます。私の実感なので、すべての場面で同じことが起きるとは言えません。ただ、この4つは自分の指示文でよく使っていた言葉でした。そこが少し怖いところです。
こういう言葉を使うときは、「消さずに」「そのまま残して」のような方向を示す一言を足しておくだけでも違ってくると思っています。

言い直したら、2行で戻った
触らない範囲を先に伝えるようにしたら事故が減った。「直して」と言うより「ここは残して」と言うほうが効いた、という体験も共有されています。
私が送ったのも、結局はそれでした。気づいた時点で、次の2行を送りました。
声で言っているタイミングに、文字を合わせて
テロップ3行も消さないで
テロップは戻りました。一往復で済みました。

ただ、これができたのには理由があります。消える前の画面を見ていたから、何が消えたかが分かったのです。「3行」という数まで言えたのも、直前に自分の目で見ていたからでした。
もし気づかないまま先へ進んでいたら、もっと手前まで戻ってやり直すことになっていたと思います。指示を出して任せきりにすると、事故そのものより「いつ壊れたのか分からない」ほうが高くつきます。
なお、私は「消さないで」という否定形で戻しましたが、「テロップ3行はそのまま残して」のように対象を名指しする言い方のほうが伝わりやすい、という声も見かけます。どちらが効くとは言い切れませんが、一度で戻らなかったときの二の矢としては、覚えておく価値があると思います。
そもそも、6行を一度に送っていた
ここからは、自分の側の反省です。
私が読んだ範囲では、一度に長くて複雑な指示を詰め込むと、AIが優先順位を見失いやすい。段階的に足していくほうが制御しやすい、と説明されることがあります。どのAIでも、どんな作業でも同じとは限りませんが、今回の自分には心当たりがありました。
私が送ったのは、まさに6行を一度にでした。つなぎ、間、タイミング、BGM、フェード。5つも6つも別のことを、ひとかたまりで渡していました。その中の1行だけが2通りに読める言葉だった、というより、6行あったから1行の曖昧さが見過ごされた、という言い方のほうが近い気がしています。
言い直すたびにやり取りが増えて、結局これなら自分で手で直したほうが早かったのでは、と思えてくる。そういう声もあります。その気持ちはよく分かります。
ただ、私の場合は逆でした。手で直すなら、テロップ3行を打ち直して、タイミングを1つずつ合わせることになります。それは前の回で「もうやらない」と決めた作業でした。言い直し1回のほうが、明らかに安かったのです。
大事なのは、往復を減らすことそのものではなく、往復が起きたときに何が起きたか分かる状態にしておくことだと思っています。
戻せるようにしてから、頼む
この講座の収録では、ひとつ決めていることがあります。実演がひと区切りつくたびに、プロジェクトのフォルダをまるごとコピーして残すというものです。
理由は身も蓋もなくて、途中の回で撮り損なったときに、それ以降の回まで全部撮り直しになるからです。1回分のコピーを取るのに数秒しかかかりません。
今回のテロップの件も、これと同じ考え方で助かった部分があります。戻せる状態を先に作っておくと、言い直すことが怖くなくなるのです。
- 頼む前に、フォルダをコピーしておく(数秒で済みます)
- 消えたら困るものを、頼む前に名前で書き出しておく
- できあがったら、頼んだことより先に「無くなったもの」を探す
3つ目は、今回いちばん効いた確認だと思っています。人はどうしても、頼んだことができているかから見ます。でも事故は、頼まなかったところで起きていました。

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この失敗と、言い直して戻すまでの一往復は、YouTube講座の第5回「シーン構成と編集」の中に、そのままの形で入れてあります。編集で切っていません。
文字で読むと一瞬の話ですが、画面では「あ、消えてる」と気づいてから言い直すまでの間があります。そこも含めて見てもらえたら、と思っています。
https://www.youtube.com/watch?v=bGqXZkTmiwI
まとめ
今回の話を3つに整理します。
起きたこと| 「合わせて」の一言で、テロップが3行消えた。頼んだことは、全部できていた。
原因| 「合わせて」は、タイミングを揃えるとも、余分なものを取り除くとも読める。AIの解釈は、文として筋が通っていた。
対処| 「消さないで」を足して言い直したら、2行で戻った。消える前を見ていたから、何が消えたか言えた。
持ち帰ってもらえるとしたら、この3つです。「整えて」「まとめて」「そろえて」「きれいにして」は、足すとも引くとも読める。 複雑な頼みごとは、一度に詰め込むより分けたほうが扱いやすい。そして、できあがったら、頼んだことより先に「無くなったもの」を探す。
やるなら、次にAIへ長い頼みごとをする前がいちばん安く済みます。できあがってから気づくと、どこまで戻せばいいのか分からないところから始めることになります。フォルダを1つコピーして、消えたら困るものを3つ書き出す。それだけなら1分もかかりません。
AIとのやり取りは、言い直せるのが前提です。一度で完璧に伝わらなくても、出てきたものを見て、足りなかった言葉を足せばいい。そう思えるようになってから、私はだいぶ気が楽になりました。
まずは、次に何か頼む前に、フォルダを1つコピーするところからで十分だと思います。
同じところで消えた経験がある方は、どんな一言で消えたのか、コメントで教えてください。次に書くことのヒントになります。フォローしておくと、この続きが届きます。